美味いもんって何だ! 1  食品添加物について

ファンタのオレンジグレープどっちが好きですか?

最近、ネットテレビで添加物アドバイザー・阿部司が出演する番組を観た。そこでかなり興味深い話をしていたので書いておこうと思う。(もっともその話は2〜3年前によく取り沙汰されてた話題なんだけど・・)
日本は世界でも屈指のグルメ大国。世界中の料理が食べられるし、何といってもダシの文化が根づいている。もちろん他の国でも、ダシは重要なものだけど日本人ほど追求している国民は他にないだろう。それはラーメンへのこだわりからもよく解る。色んな店が競うように独自のダシを開発しているよね。僕らはそれを食べて、あれがうまい!これがうまい!と一喜一憂しているのだ。ダシはいわばうま味。科学的にはアミノ酸グルタミン酸の成分を指す。普通ならば、それらの成分はこんぶやかつおぶしなどから手間ひま掛けて取り出すんだけど、食品メーカーでは気軽に代用品を使う。タンパク加水分解と呼ばれる食品添加物の一種だ。
 こういうのね

食品添加物

  • 食品の製造や加工のために必要な製造用剤
  • 食品の風味や外観、色合いを良くするための甘味料、着色料、香料など
  • 食品の保存性を良くする保存料、酸化防止剤など
  • 食品の栄養成分を強化する栄養強化剤

阿部氏はその添加物を作るスペシャリストだった人、その人が添加物の秘密や危険に付いて自ら告発本を出したのだ。それがこの本。

食品の裏側―みんな大好きな食品添加物

食品の裏側―みんな大好きな食品添加物

この人は本の中でこういうメッセージを送っています。
「(食品添加物を利用することで実現した)簡単で便利な生活もいいけれど、その代償として失っているものは確実にあります。それが何なのか、本当にこのままでよいのか。この辺りで立ち止まって、一度きちんと考えてみてはどうでしょうか。」
ここに本人のインタビューが出ています。 http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/62/

このビデオは予告編ですが、どんな事が添加物でできるか、そのさわりを観ることができます。画面に映っている数十種類の小瓶。これらを組み合わすことで、さまざまな味を作り出す事が可能になるという。彼から言わせれば表現できない味はないそうだ。
 松茸のお吸い物は、タンパク加水分解物のオールキャストらしいです.

僕は完全に添加物で育ってきた世代の人間だと思うけど、その是非を問うつもりはあまりない。いや、もちろん身体に悪いものは困るけど、美味ければそれでもいいんじゃない?という気持ちもある。でもそれ以上に現在の食システムとして、スーパーから添加物を含む食品を排除することは、ほぼ不可能なのだ。大半が店頭から消えてしまうことになる。仮に添加物なしの生活を送ろうと思えば、かなり不自由な生活が待っているし、食費もかなり高額になってしまうだろう。結局、僕たちはうまく添加物と付き合っていくしかないわけだ。
人は食品添加物の入っている食品に慣れてしまうと味覚にマヒを起こしやすいと彼は言う。つまり、所詮騙しのテクニックに引っ掛かっているのだから、本当の味が判らなくなってしまう危険があるというのだ。えー?それは困った。僕はちゃんとした舌を持っていないことになる。
人間は生まれてから、2歳までにうま味を味わっておかないと、一生判らないそうだ。舌のセンサーが感知できないのだという。タンパク加水分解物を赤ちゃんの頃から与えすぎると、センサーがそれに反応してしまうため、一生それをおいしいと思ってしまう。美味さの連鎖から逃れないのだ。だから赤ちゃんには成分をよく見て与えないとダメなんだね。食事代わりにお菓子ばっかり食べる子供の味覚障害を、ニュースで取り上げることがよくあるけど、それって小さい頃にちゃんとした食事を与えてなかったことなのかもしれない。
アメリカで、牛を食べないヒンズー教徒が知らずにポテトを食べて訴えたそうだ。
みなさんは普通に塩を振ったフライドポテトとマックのポテトどっちがおいしいと思いますか?マックのポテトには牛香パウダーが使われてるんだって。あの香ばしさはそこから来るものだったのね。いやあ、舌にハンディキャップを背負ってしまったようだ。確かに、時々無償にチキンラーメンとか、チャルメラとか食べたくなるんだよね。
最後に、冒頭のファンタの質問。ファンタって、両方同じ味らしいよ。ただ色と香りを変えているだけなんだと。騙されてました。今回はこれまで。