ハッピーフライト! 空港物が好きだ!

僕は空港が好きだ。たまに行くとワクワクしてしまう。まだやったことはないが、一日そこでボケーッとしててもいいと思うほどに好きなのだ。なので、空港が舞台のドラマや映画はつい観てしまう。つまらなくても観てしまう。エアーパニック物も好きだし、とにかくB級C級お構いなく観てしまうのだ。
だからハッピーフライト観に行ってきました。いやあ、もう最高でした。95点付けます。・・・がその点数がみなさんにあてはまるかどうかは微妙なところ。何せ僕は空港が好きなのだ。ひいき目に見てしまうでしょ?まあ、冷静に、客観的に判断すると・・・それでも85点は付けられます。おすすめです。私は貝になりたいを観るくらいなら、こっち観るべきです。こんなご時世に戦争反対なんて唱えるより、ハッピー?な気分になりましょう。
 
矢口監督はこの映画を作るにあたって、かなり念密な取材を行ったそうだ。その甲斐あってか、僕らの知り得ない空港の舞台裏がふんだんに描かれている。クスッと笑ってしまうエピソードやトリビアが軽妙に次々と繰り出されるので、時間が立つのもあっという間。よくありがちな説明的台詞を排除しつつ、見せ方が秀逸なんだよねえ。できればあと30分は長く作ってほしかったけど、監督はその尺にこだわりがありそうな気もする。(監督曰く、仕方なく捨てたエピソードがまだ山のようにあるので、この映画がヒットしたら第二弾を作りたいとの事.個人的には期待するけど、厳しいかもね。もう少し社会現象にならないと・・・)
ただね。この映画、ただ「面白い」ですまない「怖さ」も感じるんだよ。とんでもないキャラクターが出てくるわけでもなく、ANAの全面協力があったり、念密な取材に基づいてるとなると、僕らはある程度リアリティーを感じながら観てしまうよね。あらためて「飛行機を飛ばすことって、人間がやってるんだなあ」と痛感するエピソードが多い中、けっこう綱渡りな事態になってるので、笑えると同時に空恐ろしくもなった。もう少し淡々と仕事してもらわないと、こっちは不安になってしまうよ。飛行機って僕らの命を預けてるわけだからね。笑って済まされないのだ。ある意味、飛行機パニックものより怖いよ。だってパニック物は特殊な状況を描いてるので他人事として観れるけど、こっちは一応日常的な出来事として描いてるからね。他人事に思えないのだ。まあ、これは褒め言葉として解釈してちょうだい。
こういう映画を一般的には「グランドホテル形式」の映画という。意味は下記の通り

『グランドホテル形式』
映画において、同一時間および同一の場所に集まった複数の人物の行動などを、同時進行的に一度に描く作品の手法の事である。映画『グランド・ホテル』によって効果的に使用されたため、この名が付いている。

この形式をよく好んで使うのは三谷幸喜だ。「ラジオの時間」や、有頂天ホテルなどまさにそういう設定。でも三谷氏は、リアリティーを散りばめながらも、特異なキャラクターを持ち込む事でファンタジーとして描いていく。「これは物語だからね」と言わんばかりに。そこが僕は苦手だったりするので最近の作品はあまり観てないんだけど。
  ラジオ局やホテル、一件の家が出来るまでの裏舞台を描いた。

あと有名なのでは伊丹十三かな。彼の作品ほど一貫して、僕らの知らない世界をカタログ的に描いた監督はいないだろう。マルサの女ミンボーの女」「スーパーの女など知識欲を満たしてくれるエンターテインメント作品を送り続けた。
  国税庁、民事介入暴力、スーパーの内幕を描いた。
ハッピーフライトはこっちに近い作品だね。でも伊丹作品より、笑いはPOPだし、作品全体に流れる空気はとても軽やか(伊丹作品はテーマ重かったりするからね)。この手の情報が多く詰め込まれてる作品は、どうしても感動や余韻を犠牲にしてしまいがちだ。実際、「ハッピーフライト」の弱点はそこにあるかもしれない。大した事件は起きないし(もちろん意図的にだろうが)、登場人物同士が恋愛するわけでもない。(出会いはあったりしますが・・)ただそこに描かれるのは登場人物達のプロフェッショナルな仕事ぶりだ。笑いというオブラートには包まれてるけど、その懸命な姿には爽やかな感動があるはずなんだけどなあ。まあ泣きたい人はどうぞ「貝になりたい」見て下さい。
ちなみに「ハッピーフライト」のサブエピソード数本がANAに乗れば観れるとのこと。乗る機会ねえ〜 ぜひDVDに入れてほしいものです。
いくつか空港物のドラマ、映画を紹介する。
そもそも空港を扱った作品、特にテレビドラマは当たらないというイメージがある。最初に紹介するのは「LAX」というアメリカのドラマ。ロスアンゼルス空港を舞台にした群像劇だ。僕は夢中で見ていたにも関わらず、本国アメリカでは視聴率とれず、13回で途中打ち切りになってしまった。これのどこがつまらないのか僕には判らない。それくらい好きな作品だ。

「LAX」

テーマ曲が日本でやってたのと違うぞ。そっちの方が断然カッコいいんだけどなあ。ちなみにこの曲、ELOのMR BLUE SKY。なるほど

「AIRCITY」

仁川国際空港を舞台にした韓国の連続ドラマ。このドラマも視聴率取れなかったそうで、主演のチェ・ジウも評判を落としたらしい。韓国っぽいメロドラマ&サスペンスなんだけど、僕は空港物というだけで、全然面白かったんだけどな。何がダメなんだろう。

日本にも空港ドラマは結構ある。最近では上戸彩アテンションプリーズファンではないけど、空港物というだけで見てましたよ。でも上戸の役はめちゃくちゃなキャラででイライラしたなあ。過去には一斉を風靡したスチュワーデス物語、そしてタイトルズバリ大空港。伝統があるんだね。それにしても大空港、今スカパーで放送してるではないか?観ないと、何としても・・・
映画に移ろう。一杯ありすぎるので、代表的なものを。なんといっても空港物の元祖から

大空港

1970年の作品。まさに航空機時代の幕開けって感じの超大作。この映画もグランドホテル形式なんだけど、ハッピーフライトに較べれば超まじめですよ。古さは感じますが、楽しめます。空港好きなら。

ダイハード2

航空機のハイジャック物は数あれど、空港がジャックされるのはこの映画でしょう。そこが最高。正直映画としては1よりは落ちると思うんだけど、空港内でテロリスト相手に孤軍奮闘するブルースには興奮します。ついでにクリスマス映画にもなってるよ。

ターミナル

ストーリー
アメリカ、ジョン・F・ケネディ国際空港の国際線ロビー、入国手続ゲートでクラコージア人のビクター・ナボルスキーは足止めされていた。母国のクラコージア(作中の表記はKrakozhia)で、彼が乗った飛行機が出発した直後クーデターが起こり政権崩壊状態に陥った。そのため、彼のパスポートは無効状態となり、入国ビザは取り消されていたのだった。母国に引き返すこともできない中、ビクターはある約束を果たすために空港で生活を始める。
空港内がふんだんと描かれているので、最高。俺どうかしてるかな?

とまあ、マニアみたいな感じで書いてきたが、マニアと名乗るほど詳しくもないんだな。僕は空港ほどドラマチックな場所はないと思ってるんだけど、世間はそれほどではないのかな?空港物はこれからもどんどん紹介します。それではこれまで。