登山考 筑波山決死行!ついでにおすすめ登山モノ

2年前の冬、友人に誘われ筑波山に行った。

イメージしやすいように筑波登山の動画を見つけてきた。このコースは白雲橋コースみたいだな。

上の地図で見ると、美幸々原コースを登った事になる。一番,オーソドックスなコースじゃないかな?。僕はそれなりに若いつもりでいた。石段を2段飛ばしなどしながら、余裕かまして軽やかに登っていく・・・予定だった。
左側をケーブルカーが走っている。丁度宮脇駅を過ぎたあたりだったろうか?。異変が・・・!?。おいおい、もう?! 心臓の鼓動がドックンバックン鳴り出したのだ。前を歩く友人にも聴こえちゃうんじゃない?ってくらいに・・「ヤバいよ。これ」スピードを緩め、ゆっくり登る。それでも心臓の鼓動は収まるどころか、更にスピードを増していく。さすがに立ち止まって、岩に腰掛けた。「まずいよ。これ以上歩いたら、死ぬかもしれない。」半分本気で言った。まだ登山入口から100メートルくらいじゃないだろうか。しばらく動けなかった。とても恥ずかしい。脇を老人グループがどんどん追い越していく。みっともないったらありゃしない。友人も半ば呆れてたけど、「せっかく来たんだから、ゆっくり登ろう」と言ってくれた。ギブアップして戻りたいという思いも強かったけど、しばらく鼓動が収まるのを待って登り始めることにした。数十メートル毎に休憩。友人が木の杖を見つけてくれて使わせてもらった。それにしても頂上が遠い。いい加減何度も心が折れそうになる。自然を慈しむ余裕など無く、聴こえるのは自分の息遣いだけ。励まされながらなんとか頂上に辿り着いた。感慨などはなく、ただ苦しみから開放されたことに安堵するのみ。休憩所でビールなど飲みつつ、ゆっくり身体を回復させていった。
さあ、帰りは下るだけ。上りより気は楽だ。歩く距離を減らしたい思いでロープウェーに乗り、迎場コースから帰った。でも地図を見ると、白雲橋コースと較べて大して距離が変わらないな。今,気が付いた。まあいい。僕は思いのほか元気だったが、友人は下りで膝を痛めたようだ。お互い身体を鍛えなきゃいけないなと言い合った。
以来、僕は運動するように心掛けた。最初は自転車から。以前から持っていたクロスバイクで走る習慣をつけていった。ああ、自転車のことは改めて書こうと思う。想いが強いので何から書いていいか判らない。じっくり寝かせてから公開します。
最近、山登りしましたか?もししてなかったら一度おすすめします。己を知るいい機会になると思いますよ。楽に登れれば、まだまだ若い。逆にご年配の方にドンドン抜かれていく屈辱、ふがいなさを味わったら危機感を感じて体力改善をしようということになるのでは? ぜひお試しあれ。
ところで僕が登ったのは所詮ハイキングレベルのものだった。スケールが違い過ぎて関連付けるのは申し訳ないんだけど、僕は結構、山岳モノのエンターテイメントが好きだったりする。どうしてなのかと考えたら、おそらく人間の感情が全て現れる極限の状況だからだと思う。人間の光と闇が思い存分描かれるので、引き込まれてしまうのだ。それに僕には到底踏み込めない、踏み込みたくない世界に挑む人間を知りたいという欲求もあるのだろう。山を知ってしまったら身体の一部が欠けてしまっても、また登りたくなるという心境。何がそこまで駆り立てるのか?山を登ると征服するという表現を使う。簡単に言ってはいけないけど、要するにその征服感を味わう事は,生きる喜びと直結してしまうのだろう。脳がそうなっちゃうのだ。
過去に面白かった作品を紹介しておく。
まずは映画から。


映画クリフハンガーから。有名なオープニングシーンだ。この恐怖に歪む女性の表情はリアルで怖かった。スタローンでは一番好きな映画。舞台が山だからと思う。だって山ほど、緊迫感のあるステージはないと思う。寒いわ、空気は薄いわ、危ないわ、こんな極限の状況でスタローンがバッサバッサとテロリストを殺していくのは痛快だった。この状況を扱った映画は結構ある。

山岳映画ファン・サイト  http://www2u.biglobe.ne.jp/~gogh0808/MotMovieGallery.htm
山岳映画マニアっているんですねえ。ほほー、結構観てないのあるな。でも今ではレンタルされてないものばかりだ。僕には語る資格ありませんね。
取りあえず現行で観れるもの。
ミッドナイトイーグル
これは酷い映画でした。観なくていいですよ。これもクリフハンガーと同じく、主人公が冬山で北朝鮮のテロリストと遭遇するという話。でも主人公はその山を知り尽くしたスペシャリストであるにも関わらず、それを全く生かす事なくテロリストから逃げ惑うだけ。観ていてはがゆいし、山という極限状況を全く生かしきっていないので映画としては×。
ホワイトアウト
織田裕二の主演でヒットしました。これは雪山のダムに篭城したテロリストを織田くんが全滅させていくという話。原作が素晴らしいのでそれなりに面白いけど、ただ映画用に短くしているために肝心なところがご都合主義になっているところがかなりあったように記憶している。例えば主人公が知恵を絞って色々問題をクリアしていくんだけど、映画ではダム内部に侵入するためのドアが初めから鍵が掛かってなくて、すんなり入れたりする。これは興ざめだ。
他にも沢山あるが、そんなに山岳映画は傑作がないね。まず絵としては真っ白で単調になりがちだろうし、撮影が大変なので細かい事に目がいかないのかな?あとは実録もの。いくつか観たが、悲惨な話ばかりだ。ほとんどみんな死んでいくので、観る人を選んでしまうだろうなあと思う。

小説

神々の山嶺 上 (集英社文庫)

神々の山嶺 上 (集英社文庫)

引き込まれます。山に興味ない人も面白いと思う。これ、漫画にもなってるようだ。
ホワイトアウト (新潮文庫)

ホワイトアウト (新潮文庫)

映画と違って完璧な作品です。山岳小説という枠にはまらない、アクション小説としても最高傑作だと思ってます。みんなに読んでほしい。
神々の座を越えて〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

神々の座を越えて〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

谷氏はこの他にもいくつか山岳小説を書いてます。とても面白い。この小説は南の島モルジブで波の音を聴きながら呼んだ記憶がある。雪山小説を南の島で読むとは、なんて贅沢なんだろう。
空へ―エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか (文春文庫)

空へ―エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか (文春文庫)

最後にドキュメンタリー。これはベストセラーになった本。まあ、悲惨ですよ。ほとんどの人が死にます。その壮絶な状況がとても詳しく描かれています。読む価値はあると思います。
山岳小説といえば、日本では新田次郎だ。でも読んだ事ありません。勉強不足でした。機会があったら読もうと思います。

というわけで、こんなの読んでいたら憧れどころか、山なんか好きになっちゃいけないなあと思ってしまう。だから、僕はハマることはないだろう。まだ経験ないが、富士山とか高い所にいくと高山病になるような気がするんだなあ。なりやすい体質じゃないかなって。本やテレビドキュメントなどで、症状の苦しみを知ってるので、それはご勘弁願いたい。逆に、もし楽に登っちゃったりしても困ってしまう。もし脳が思いのほか喜んじゃって、今度はあそこに行きたいとか考え出したら大変だ。ランニングや自転車と違って、気軽に楽しめるものではない。山に行かないと始まらない。そして世界の山にも行きたくなるに決まっているのだ。不経済極まりないよ。好きになんかなりませんよ。山で死んだりしませんからね。それでは
追伸 書き忘れていた。今年の春、また筑波山に登りました。リベンジである。もちろん、楽々登れましたよ。次は・・・いやいやいけない。何でもありません。