僕がダイビングしない理由 ついでにおすすめダイビング映画

親しい友人にダイビングの達人がいる。「騙されたと思って一回行ってみない?!」と誘われて以来、度々南の島へ遊びに行くようになった。特にモルジブはまさに楽園だった。島に着いた瞬間の海の美しさは今も頭に鮮明に残っている。テレビや映画で観た美しさ、いやそれ以上のものがそこにはあった。
「本当にこんなとこがあるんだねえ」
実際に体験しないと、この感動は伝わらないだろう。何度でも味わいたいものだ。モルジブの素晴らしさは別の機会に書くとして、ダイビングの話である。


モルジブでの生活は、これを観れば一目瞭然。

日本人にとって、モルジブと言えばダイビング。ほとんどの観光客がそれ目的でやってくる。もしそうじゃない人を見掛けたら、まずハネムーナーと思っていい。(ハネムーンでダイビングなんてこともよくあるけど)
そんな中、僕もダイビングはしない。「あいつは何しに来てるんだ?」と思われても不思議じゃない。ライセンス取得は何度か考えたけど、結局は辞退していた。
いくつか理由がある。

  1. 結構、ライセンス取得にお金が掛かること。年に一度くらいしかやらないものにしてはコスト高
  2. 取ったら取ったで、自分の道具を揃えたくなるだろう。性格的にモノから入る僕としては無理してでも買い揃えると思う。値段を聞くと、これがめっぽう高い。割に合わないと思う。
  3. ダイビングをする友人は、旅行の際、機材やスーツなど、けっこうな荷物量になっている。見ていて大変だなと思うので。
  4. シュノーケリングで十分に満足できる。モルジブなどのきれいな海なら、透明度もかなり高いので文句なし
  5. モルジブを知ってしまったら、もはや、日本ではダイビングしたいとは思えない。伊豆でシュノーケリングしたことがあるけど、満足できるはずもなく、結局海外に行かないと気が済まない。でもそんなにしょっちゅう行けるものではない。
  6. 世界的な規模で珊瑚礁の白化減少が進んでいる。僕が行っていた頃のモルジブも、年々悲惨な状況になりつつあった。これからしばらくきれいな海を観れなくなるかもしれない。

とまあ、いくつか挙げてはみたが、どれも取って付けたような表向きの理由だ。決定打は僕の幼少時のトラウマに関係があると思う。いや、トラウマというには大袈裟過ぎるかもしれない。
息のできない恐怖
小学低学年の頃だったと思う。住んでいた団地のすぐ隣にドブというか、水路があった。
  
ネットで探したらありました!まさにここが現場です。懐かしいなあ。大阪の堺市にある白鷺団地です。
その日は雨が降った後だったのか、水嵩が高く、どす黒く濁っていた。柵を乗り越えて近所のともだちと遊んでいた。
落ちた!
何故かは思い出せない。自分のミスだったのか、ふざけて落とされたのか?少なくとも誰かを恨んだ記憶はないので、そこに悪意はなかったと思う。写真で見るとそうでもないが、結構深かったと思う。汚くて臭いドブの中を必死にもがいたイメージが今も残っている。周囲は粗大ゴミが沢山投げ捨てられていて墓場のようになっていた。死の恐怖を生まれてはじめて体験した。友達が道路に出て助けを呼びに行ってくれたのか、濁った底から見上げる水面に、ぐらぐら揺れながら何かが遠ざかるのが見えたような気がした。どれくらい中にいたのだろう。何度かは水面に浮かび上がって呼吸できたのだろうか?とても長い時間に思えた。しばらくして大きな影が視界を遮った。知らないおじさんが水路に飛び込んで助けてくれたのだ。僕は気絶することもなく、一部始終を見ていたような気がする。本当に窒息したわけでもないので、水路から陸に上がった途端、普通にワンワン泣き出した。おじさんはトラックの運転手だったらしく、道路から車を降りて助けにきてくれたらしい。ちゃんとお礼を言ったのか覚えていない。もし言ってなければ助け甲斐がなかったろうなあって思う。でもその時の僕には申し訳ないがそんな余裕はなかった。怖かったわ、ヘドロで真っ黒になるわ、異臭を放つわで、とにかく家に帰って風呂に入ったのは憶えている。

病院に運ばれて,死の淵をさまよったわけでもないので大した過去ではないと思う。でも水の中に長くいる恐怖、息の出来ない恐怖はこの時に宿ったと思う。幸い、水そのものへの恐怖は以後感じなかった。泳ぐのも平気だし、海に入る事自体も怖くない。ただ水中となると、普通という訳にはいかない。長時間いると不安になるので、潜ることに躊躇してしまうのだ。
ダイビングでは、大体20〜30メートルまで潜るという。呼吸はボンベで確保されてるとはいえ、量のチェックは怠るわけにはいかない。空気の減りには個人差があり。省エネで長く持つ人もいれば、すぐに無くなってしまう人もいる。筋肉質であればあるほど、消費量が増える傾向にあるという。万が一、潜水中に空気が足りなくなった場合は、すぐに浮上してはならない。水圧の関係で潜水病になってしまう可能性があるからだ。焦ってはならない。時間を掛けて浮上していく。空気が無くなれば、相棒のレギュレーターから分けてもらう。そんな時、パニックにならずにいられるだろうか?僕は恐らく呼吸出来ない不安のために過呼吸になるに違いない。酸素の減りは著しいに決まってる。相棒に迷惑を掛けてしまうな、きっと。いや、最初は誰でも不安なものだ。やればできると思う。慣れればね。でも不安はずっとこびりついてるに違いない。だから積極的にはなれない。
ちなみに体験ダイビングはしたことがある。水面がすぐ上に見える状況でやったからだろう。恐怖は感じなかった。過呼吸気味だったかもしれないけど。その時は僕と友人、二人にインストラクターが一人ついてくれた。器具の取り扱いや、注意点を一通り聞いてから水中に入ると、僕らはその人の袖を掴んで、ただ引っ張られるままにグルーッと近くを回った・・・だけだった。何という呆気なさ!おいおい、あんたは俺たちにダイビングの楽しさを伝えないと駄目なんじゃないの?って思った。俺たちを子犬のように引き連れ回すだけが仕事じゃないだろう?また、やりたいって思わせるのが大事なんじゃないの?ダイビング人口増えてかないよ!あんたはダイビングの普及活動を担ってるんだ。その誇りを持て!って感じでした。というわけで全然楽しくなかった。一緒にやった友達とシュノーケリングで十分だな」って確認し合った。その経験もライセンスを取る気になれない要因だな。その後、達人の友達に話したら、体験ダイビングによっては、もっと自由に行動させてくれるところもあるとのことだった。「それはついてなかったなあ」って同情してくれた。
それにしても、ここ数年は南の島には行ってない。今度行くのはいつになるだろうか?それをただひたすらに夢みている。
ダイビングの映画を紹介しよう。ダイビングという枠にこだわると意外に少ない。まずは日本映画。この映画の登場でダイビングというマイナースポーツが結構浸透したのではないか?  彼女が水着に着替えたら
 
ストーリー
朝鮮戦争時、ある韓国人富豪のチャーター機「ドラゴンレディ」が、宝石を積んだまま相模湾上空で墜落し海底に沈んだ。22歳のOL・田中真理子と同僚の恭世はゴールデンウィークに金持ちのプレイボーイ・山口に誘われ、豪華クルーザーのアマゾン号に乗り込んだ。目的はスクーバ・ダイビングである。翌日二人は三戸浜沖の海底でドラゴンレディを見つけたが、深く潜りすぎて、ヨットのツバメ号を操る年輩の大塚と若い吉岡に助けられた。その晩、アマゾン号のパーティで二人は突然襲ってきた大塚らに連れ去られるが、これはアマゾン号とツバメ号の恒例の女の子争奪ゲームだった。ふとしたことから真理子が海底の飛行機のことを話すと皆はびっくり、山口と大塚はその宝探しのライバルだったのだ。真理子と吉岡はお互いに好意を持つが、なかなか素直に心を打ち明けることができない。大塚が何者か怪しいパワーボートに襲われて入院。その間に飛行機も引き上げられてしまった。真理子と吉岡は「山口の仕業に違いない」と腹を立てるが、犯人は恐るべき第3の敵だった。しかし、宝の箱は流されて別の場所にあり、その韓国人グループの手にも渡っていなかった。宝が見つからず腹を立てた一味は海に潜った真理子と吉岡が奪ったとにらみ、二人を追いかけ始めた。ジェット・スキーなどで逃げる真理子と吉岡は、間一髪のところで、裕子のヘリコプターに無事救出されたのだった。
トレンド映画として大ヒットした映画「私をスキーに連れていって」の第二弾作品だ。ちょうどバブルの全盛だった頃なのか、金持ちのスポーツとして描かれ、出演者もバブリーな格好をしている。スキーに連れていってほどのインパクトは流石になかったけど、それなりに楽しい映画だった気がする。
前作はユーミン、この映画はサザンが全編に流れる。音楽の力が映画をかなり支えている。

続いて洋画 当然のようにパニック映画だ。オープンウォーター
 
ストーリー
スーザン (ブランチャード・ライアン) とダニエル (ダニエル・トラヴィス) はやっとのことで得た休暇で南の島にダイビングに出かける。しかし他のダイバーたちと共にダイヴを楽しんだ後、海上に浮かんだ二人の前からはボートがいなくなっていた。ボートのクルーのダイヴァーのカウント・ミスにより、二人はサメの出没する海の真っ只中に取り残されてしまったのだ‥‥ 
実際にあった話らしいんだけど、これはかなり怖いね。実は僕もモルジブで一人泳いでいたら、知らぬ間に沖に流されていた経験がある。もう夕方ではるか彼方に島の灯りが見えていた。焦ったよ。ただひたすら泳いで戻った。フィンを付けていたから戻れた距離だと思う。もし素足だったらゾッとする。泳ぎながら思ったのは、「サメよ、来るな!」ってことだ。後から友人に「サメなんていないよ、この辺じゃ」って笑われたと思うけど、そんな知識はあるはずもなく、足になにか触れたら恐怖で凍り付いたかもしれない。まあ、サメには遭遇することなく事なきを得たんだけど、この映画では足に触れるんだよね。ああ、怖い。地味な映画ではある。ダイビングをする人なら観る価値ありますよ。カップルが責任をなすりあって、罵り合うところなんかリアルじゃないかなあ。もし自分がって考えると、どうなってしまうのだろう?
続編になります。 オープンウォーター2
 
題名の通り、part2が作られた。前作が制作費1400万、で30億のヒットを飛ばしたという。今回はダイビングではなく、クルージング。前回の続きではなく、全く別の話。これも実際にあったらしい。でもヨットの構造がまず問題じゃないの?緊急手段をとれるようにすべきだと思うんだけど、今は是正されてるのかな?このCMはなかなか面白いのでぜひ観てください。
ストーリー
メキシコ湾のマリーナから6人の男女を乗せた大型ヨット“ゴッドスピード”号が沖へ向けて出帆した。さっそく思い思いにクルーズを満喫する6人。やがて、一人が海に飛び込んだのをきっかけに、皆次々と後を追って海へと飛び込み始めた。そして、あっという間に6人全員海の中。ところが、最後の一人が梯子を出すのを忘れていた。甲板までは数メートルもある大型ヨット。そのことにようやく気づいた6人は、目の前に漂うヨットを水面から呆然と眺めるしかなかった…。
この映画の一番評価する所は、例のアレが出てこないことです。もちろん、アレの潜在的恐怖はあった上で、最後まで見せない。エラい!と思った。映画としては1が上だと思いますが、パート2としてはよく出来てる方じゃないでしょうか?この映画はとてもまぬけな話だとして、評価は低いようです。でもトラブルってこんなまぬけなことがきっかけになるなんてありがちだし、つまらないミスが恐怖に変わって行く過程もよく描かれていたと思いました。実際あった話だしね。まあ、落ちがね。結局、それかよ!とは思ったけどね。もっと鮮やかな形勢逆転を観たかったような気もします。僕なんてまぬけだから、やっちまいそうで怖かったですよ。
というわけで、ダイビングのライセンスを取った暁には、ご報告します。その時までブログ続けてないと思いますが。